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昭和58年初版が出て、59年に第二刷発行された本を図書館で借りてきた。
夫も読んだ。
ご存命にもかかわらず、最早伝説化されていらっしゃるつげ義春氏
日々の生活が虚飾なく赤裸々に、登場人物も実名で書かれている
さぞかし物議をかもしたのではと思う
所々に挿入されている写真にも見入ってしまった
写真の息子さんが可愛い
何につけ心配性の気弱な日々の暮らし、本人にとっては大変なことでも
他人事として読むのだから可笑しく面白く
悲観的観測ばかりして自らを不幸にしてしまいがちな自分にとって親しみを覚えて
救われるような気持ちにもなった。
夫は憤っている。企業戦士だった夫が怒った。本を楽しんで読めなかったようだ。
まるで部下を叱るように、つげ義春に苦言を呈していた(笑)
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オルハン・パムク「赤い髪の女」
ノーベル文学賞作家の傑作長篇
父と子との関係を古典悲劇と重ねて物語が展開して行く
赤い髪の女がモチーフを繋げ
重層的な物語の中へ引き込まれて行く。
物語の始まりに以下の文を読み
読み終わってから、あらためて読み返すと物語としっかりと重なっているのが理解できた。
オイディブス、自分の父の殺害者、自分の母の夫! スフンィクスの謎を解いたオイディプス!これらの運命のしわざの神秘に満ち三面体は、いったいわれわれに何を物語っているのだろう? 聡明な占星術師は近親相姦からのみ生まれるーこれは大昔の信仰、とりわけペルシアの民間信仰にある話である。
オイディプス「そんな昔の事件の手がかりがどこにあるの?」
父なし子を慈しむ者がないように、子のない父を慈しむ者もいない
フェルドースィー『王書』(宮下遼訳)
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梅雨が終わり、いきなり猛暑
覚悟していたけど、すごい日差し
絵を片付けなくては
サッサとやらなくては
その上で、まだ描こうとしている私がいる
身辺をサッパリさせなくては
明日こそ、削ろう!
半年ぶりに美容院へ行った
伸びた分を切ってもらった
鏡に映る自分に、ちょっとビックリした
老けました!
顔色 シミ シワ タルミ
キレイなオバアチャンになりたかったのに
くすんだ顔!
心持ち良くすれば、キレイな顔になれると思っていたのだけど
なれないのだな
それに心持ちは、迷い 不安 恐れ 心配 寄る辺のない心持ちであった
ああ、その通りの顔になっている!
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夫が出かけた。フッと緊張が解ける。深呼吸してみる。けれども空っぽになっている。そこへ自分を注ぐはずなのに、どうしようかという思い、迷い、そうこうしている内に夫が帰って来て、緊張して夫の気配で空っぽが埋まる。
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ホームへの住み替え準備
絵を片付けなければならない
50年も描いてきたから、すごい量
昨日は仲間の個展へ行って来た
私より、ずっと歳上なのに頑張っている
住み替えなど考えなければ
ひたすら絵に立ち向かっていただろうか
そう思えない
これで良いのだと思う
最善を選んだのだと自分を信じよう
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我が家から車で35分くらい、熊谷の老人ホームへの入居を決めた。
先ずは別荘扱いであるが
人生最後の決断、そこで一生を遂げることになる。
全部の生活をホームへ移すまでに断捨離せねばと思っているのだが
進行せず、落ち着かない気持ちである。
処分するに”もったいない”が邪魔している。